文科省の調査によると、小学校、中学校、高等学校ともに、平日の教員の勤務時間は10時間を超えるという、厳しい現実が見えてきます。
また別の調査でも、8割以上の教員が実際に「業務量が多い」と回答しています。

学校での働き方改革を進めるためにも、いかに教員の作業量を減らしていくかが大きなテーマとなっています。
そこで注目されているのが、校務支援システムです。

本記事では校務支援システムとはどういうものか、全国の学校での導入状況、また自校に導入するための対応策などについて解説します。
校務支援システムの導入を検討している方、全国の状況を知りたいご担当者様は、ぜひ参考になさってください。

校務支援システムとは?基本的な機能とメリット

校務支援システムのイメージ

校務支援システムは、教育現場で扱う様々なデータを電子化し、管理・運用するICTツールです。業務を効率化することによって先生たちの負担軽減と勤務時間の短縮を実現し、授業の質の向上や子どもたちと向き合う時間を増やせることなどが期待されています。

校務支援システムの基本的な機能

  • 成績処理、出欠管理、時数管理などの教務系管理
  • 健康診断票、保健室来室管理などの保険系管理
  • 指導要録などの学籍系管理
  • 学校行事や連絡事項などの共有・管理

校務支援システムによって教育現場で扱う様々な情報が電子化され、一元的に管理・運用できるようになります。
たとえば、児童や生徒の情報を一度入力しておけば、必要な情報を追加するだけで出席簿や通知表、指導用要録などを作成できるようになります。

校務支援システムのメリット

  • 先生の業務負担の軽減
  • 校務の統一化・情報化によるコスト削減
  • セキュリティ対策

校務支援システムによって先生たちの様々な業務の短縮化・効率化が期待できます。
学校における働き方改革を進めるのに役立つことはもちろんですが、空いた時間を授業の準備や生徒たちと向き合う時間に振り分けられるため、教育の質の向上にもつながります。

全国の学校での校務支援システム導入状況

校務支援システム

2021年に文科省が行った調査によると、統合型校務支援システムを「導入済み・導入見込み」の学校は合計で87.9%となっています。
一方で「予定無し・未定」の学校は合わせて12.1%、その主な理由は「小規模で導入効果が低い」「ニーズがない」「予算の確保が難しい」となっています。

また実際に校務支援システムを導入している学校へのアンケート調査によると、9割以上の学校が校務支援システムを「とても良かった(32.1%)・まあ良かった(58.2%)」と評価しています。
また校務支援システムを導入して良かったと思う理由については、次のような回答が寄せられています(複数回答)。

  • 作業時間が減った(51.6%)
  • アナログ作業が減った(40.3%)
  • 作業量が減った(39.1%)

参考:文部科学省|GIGAスクール構想に関する各種調査の結果[PDF]

2011年に文科省が示した「教育の情報化ビジョン」によると、2020年度までに全ての学校で校務支援システムを普及させるとしています。
実際に全国で9割近くの学校が校務支援システムを導入していること、そしてその成果と実績などを見ると、未導入の学校では早急な検討と対策が求められそうです。

校務支援システムの過去導入事例

東京都豊島区では、2016年度から区内の小学校22校ならびに、中学校8校で校務支援システムを導入しています。
指導要録などの書類を電子化・ペーパーレス化することによって、書類作成に必要な時間を短縮。1日あたりおよそ43分の業務時間短縮が実現できたと報告されています。
さらに指導要録などの原本が電子化されたことで、紛失事故の防止といったセキュリティ面での効果も生まれています。

京都市では先行実施校でのポジティブな結果を受け、2012年度から市内の全ての小学校・中学校・特別支援学校で校務支援システムを導入しました。
児童生徒の基本情報の管理、出欠管理、指導要因の作成・データ保管などは全ての学校で校務支援システムの活用を義務付ける一方で、その他の運用は各校に任せています。
その結果、必要な情報は市内の全ての学校で共有可能な一方、それぞれの学校で必要に応じた校務支援システムの機能が活用されています。

参考:文部科学省|教育の情報化ビジョン[PDF]

学校種別の導入状況

学校種別ごとに導入状況を見てみると、小学校よりも中学校、高校での導入が進んでいる傾向があり、教育のICT化が進む中で、校務支援システムの重要性がさらに高まっています。

  • 小学校:75% – 事務処理の簡略化、出欠管理の効率化
  • 中学校:82% – 成績処理の迅速化、保護者連絡の効率化
  • 高等学校:65% – 健康管理と出欠管理の一元化
  • 特別支援学校:50% – 情報共有の円滑化、個別対応の管理が容易

ただし、校務支援システムの導入状況は、都道府県や学校種別によって異なります。
都心部では導入が進んでいる地域が多く、特にICT教育の推進に積極的な都道府県が多い傾向にあります。

参考:文部科学省|教員勤務実態調査(令和4年度)[PDF]

参考:PRtimes|新たな校務システムの導入を検討している教員は9割以上!校務システムに求めることとは

アンケート調査から見る未導入校の現状と課題

アンケート調査から、未導入校では予算不足やインフラ整備の遅れが導入の障壁となっていることがわかりました。また、教職員の間での意識の差や、デジタルツールに対する不安も課題として挙げられています。このため、導入を進めるためには、教職員の意識改革やトレーニングが求められています。

未導入校の課題

  • 予算不足 – 導入費用や維持費用を負担できない学校が多い
  • インフラ整備の遅れ – ICT環境の未整備により、システム導入が困難
  • 教職員の意識の差 – デジタルツールに対する理解度に差があり、導入に対する抵抗がある

校務支援システムを取り巻く法制度と最新動向

校務支援システムは、GIGAスクール構想の推進や個人情報保護法の改正により、教育現場での導入が進んでいます。
文部科学省も補助金制度を通じてシステム導入を支援しています。以下では、これらの法制度や今後の動向について解説します。

GIGAスクール構想との関連性

GIGAスクール構想との関連で、校務支援システムは教育のデジタル化に欠かせないツールとされています。
この構想により、すべての児童生徒が1人1台の端末を持ち、教育現場のICT環境が整備されました。
このような背景から、校務支援システムも教育デジタル化の一環として導入が進んでいます。

参考:PR Times|GIGAスクール構想関連資料

今後予想される制度変更と対応

教育現場でのデジタルツールの使用がさらに進むにつれて、校務支援システムに関する制度も変化が予想されます。具体的には、データの管理や運用に関するルールの厳格化が進むと考えられます。このような変化に対応するため、学校側も適切な準備が求められるでしょう。

現在、国全体で進めている校務支援システムの標準化についての動向は、こちらの記事で確認できます。
関連記事:校務支援システムの標準化とは?

校務支援システム導入のための補助金制度

校務支援システム導入への大きなハードルの一つが、予算の確保です。
しかし国や各都道府県は、校務支援システム導入のための様々な補助金制度を設けています。

補助金制度 対象の学校 規模
GIGAスクール構想に基づく補助金 公立の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校 2分の1補助
私立学校ICT教育環境整備費助成事業 東京都内の私立小学校・中学校・高等学校・特別支援学校 2,000万円/校(高等学校は1,500万円)
働き方改革支援補助金 全国の私立・公立学校、特別支援学校、幼稚園・保育園・認定こども保育園 校務支援システム導入にあたり必要な学校活動支援サービスの利用料の原価

こうした制度に加えて、各地方自治体が行っている独自の支援制度も存在します。ぜひ、それぞれの自治体へ相談してみましょう。

校務支援システム未導入の学校が取るべき対応策

校務をする教員

校務支援システムを導入するために、次のような対応策が考えられます。

目的やビジョンを明確にする

校務支援システムを導入すると、これまで手書きで行っていた校務の処理方法が大きく変わります。
そのため、自校に最適なシステムを導入するために、どのような機能が必要か、どんな効果を期待しているかなど、校務支援システム導入の目的やビジョンを明確にする必要があります。
導入の目的が共有されれば、先生や職員たちの理解も深まり、導入から運用までの流れもスムーズになるでしょう。
また校務支援システムを使いこなすためにはある程度の時間や慣れが必要ですから、中長期的なビジョンを策定することも大切です。

導入効果を可視化し、計画進捗を評価する

校務支援システムの導入の際には、実施状況や計画進捗を評価してその効果と実績を確認する必要があります。そのためにあらかじめ具体的な目標を設定して、導入効果を可視化することが求められます。
たとえば、先生一人あたりの業務削減時間やシステムの利用率などの目標を設定できるでしょう。

仕様を作成する

事前に設定した目的やビジョンをもとに、校務支援システムの仕様を作成します。
あらかじめ導入している学校のシステムや、市販の統合型校務支援システムのパッケージを参考にしながら、自校に最適なシステムの仕様を作成なさってください。

予算を立てる

校務支援システム運用のためには、導入コストだけではなく、研修会やICT支援員、ヘルプデスクなどのランニングコストも必要になります。
しっかりとした計画のもとに、必要な予算の計上が求められます。

セキュリティ対策

校務支援システムでは気密性の高い情報を取り扱います。そのため、導入と運用にあたってはセキュリティに関する法的な側面も考慮しなければなりません。
具体的には、各教育委員会が定めた学校情報セキュリティポリシーの改正が必要になる場合があります。
また文科省が策定したガイドラインでは、校務支援システムの導入に際して各学校で情報セキュリティポリシーの策定と見直しが呼びかけられています。
個人情報の漏洩は大きな社会問題ともなっていますから、法律に則ったセキュリティ体制の構築も非常に大切です。

参照:文部科学省|教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン[PDF]

校務支援システムを選ぶポイント

校務支援システムにも様々な種類が存在します。そのため校務支援システムによって何を実現したいかを明確にし、自校に最適なシステムを選ぶ必要があります。
そのために、次のようなポイントに注目すると良いでしょう。

ポイント 補足
機能面 ・校務支援システムには様々なタイプが存在しているため、自校に必要な機能を備えているかどうかを確認する
サポート面 ・万が一のトラブルが生じたときのサポート体制はどうなっているか
・将来的にカスタマイズが必要な時に対応してもらえるか
コスト ・料金が高いシステムが優れているとは限らない
・料金体系はどうなっているか(月額料金のみ、導入費用+毎月の保守費用など)
・数年単位でコストを見積もる

校務支援システムは導入後、長期にわたって利用するシステムです。そのため、必要な機能を備えているか、サポート体制はどうなっているか、年単位でのコストがどのくらいかかるのか、といった点をしっかり確認した上で選ぶことが大切です。

まとめ

校務支援システムは先生たちの業務量を減らし、教育の質を上げるために非常に有用なツールです。
すでに全国で9割近くの学校が校務支援システムを導入し、目に見える確かな実績が報告されています。
今回の記事を参考に、必要な対策を取って、校務支援システムの導入をぜひ検討なさってください。

校務支援システム
比較表

「機能」 「サポート」 「料金」 について、オススメの校務支援システム5社をピックアップしてまとめました!
気になるシステムがあれば、ぜひ公式HPからチェックしてみてください。

基本情報 Major School System スクールマスターZeus e-教務V3 スクールエンジン BLEND
システックITソリューション
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ウェルダンシステム株式会社 株式会社エフワン 株式会社システムディ モチベーションワークス
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完全カスタマイズ型
パッケージ型
※別途見積りで拡張可能
パッケージ型
パッケージ型
※エンタープライズプランのみ

出席管理
学籍情報管理
保護者連携機能
記載なし



即日対応
専属エンジニアによる継続サポート
即日対応可能
ヘルプデスクで即日確認
ヘルプデスクで即日確認
緊急時のみサポートチームが
即日確認
記載なし
納品までの
システム拡張
無料対応
※別途見積り
カスタマイズ不可
カスタマイズ不可
記載なし
導入までの
運用研修
3回
3分割の納品で
現地にて直接報告、運用の指導
※無償
リモートや訪問で説明会を実施
※無償
2回
一般職員向け説明会
管理者向け説明会
※無償
各種研修あり
※別途7万〜10万
記載なし
料金 5年間の
平均推測総額※
716万円
524万円+48万円×4年
記載なし
記載なし
404万円+
サーバー・通信設備
・サポート費用

44万円
+72万円×5年
1440万円
3600円×800名×5年
年間保守費用
48万円
※導入後1年間は
保守費0円無償で仕様変更可
記載なし
記載なし
72万円
3,600円/生徒1人
初期費用
高校・一貫校:
360~1093万円
※5年で分割払いも可能
※直近3年間における初期費用
記載なし
記載なし
小中高:44万円
無し
導入校の例 筑波大学附属駒場中高等学校
早稲田中学校・高等学校
東京大学教育学部附属中等教育学校
明誠学院高等学校
関西大倉中学校・高等学校
その他多数
堀越高等学校
暁星小学校
成蹊小学校
浦和学院高等学校
白百合学園小学校
その他多数
記載なし 記載なし 開志学園高等学校
聖徳学園中学校高等学校
その他多数
基本情報 Major School System スクールマスターZeus e-教務V3 スクールエンジン BLEND
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※高校生徒数600名 × 5年目までの平均推測総額

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