更新日: 2026年08月18日

デジタル校務とは?機能や料金、導入実績から自校に合うかを考える

デジタル校務を調べると、個人カルテやクラウド、自治体連携など多くの機能が並びます。ただ、導入を考える立場で知りたいのは、学校の仕事が実際にどう変わり、どこまで費用に含まれるかではないでしょうか。教育DXサービスマップには、令和4年度時点で全国120自治体以上への導入実績が掲載されています。主な機能から料金、運用上の注意点、他社と比べる基準まで、選定に必要な情報を順に見ていきます。

デジタル校務はどんなシステムか

年度末、出欠日数を集計し、成績を確定し、通知表や指導要録へ反映する。学校では、同じ児童生徒の情報を何度も扱います。デジタル校務は、その情報を一つにつなぎ、入力や確認にかかる手間を抑えるためのシステムです。

内田洋行が提供する公立小中学校向けシステム

内田洋行のデジタル校務は、公立小学校と中学校を主な対象とする統合型校務支援システムです。統合型校務支援システムとは、学籍、出欠、成績、保健など、校内に散らばりやすい情報を一つの仕組みで扱うシステムを指します。

中心にあるのが、小学校入学から中学校卒業までの情報を児童生徒ごとに蓄積する個人カルテです。毎日の校務を効率化するだけでなく、欠席や保健室利用の変化を複数の教職員で共有しやすくする役割も担います。

一般的な校務のデジタル化とは意味が異なる

デジタル校務という言葉は、製品名として使われる一方、紙や押印を減らす取り組み全体を指すこともあります。一般的な校務のデジタル化には、業務手順の見直し、クラウド利用、保護者連絡のオンライン化なども含まれます。内田洋行のデジタル校務は、その取り組みを進めるための製品の一つです。

校務支援システムそのものの役割から知りたい場合は、校務支援システムの機能や導入メリットを先に読むと、製品ごとの違いがつかみやすくなります。

デジタル校務の基本情報

最初に、どの学校を対象に、何ができる製品なのかを一枚で見てみます。機能や料金を読み進める前に、製品の輪郭をつかんでおくための表です。

項目 内容
提供会社 株式会社内田洋行
主な対象 公立小学校、公立中学校
システム種別 統合型校務支援システム
主な機能 学籍、出欠、成績、保健、勤怠、校内情報共有
代表的な特徴 小中9年間の個人カルテ、独自帳票への対応、自治体連携
料金 オープン価格
ライセンス単位 学校ライセンス
無料トライアル 教育DXサービスマップではなし
データ連携 APPLIC、OneRoster v1.2、学齢簿など
サポート 導入前研修、専用ヘルプデスク、新年度研修など
導入実績 令和4年度時点で全国120自治体以上

 

クラウドでの運用が用意されていますが、自治体のネットワーク方針や契約内容によって構成は変わります。教育DXサービスマップと製品ページの両方を見たうえで、実際の提供形態は見積もり時にすり合わせるのが適切です。

対象となる学校と利用する人

どれほど機能が多くても、校種や利用者の役割に合わなければ日々の業務にはなじみません。デジタル校務は、公立小中学校を軸に、学校と教育委員会をまたいで使うことを想定した製品です。

公立小中学校を中心に9年間の情報をつなぐ

小学校と中学校で同じ仕組みを使うと、進学のたびに情報が途切れにくくなります。たとえば、小学校での欠席傾向や保健室の利用状況を中学校でも引き継げれば、新しい担任が児童生徒の経過を早く理解しやすくなります。

高校、大学、私立学校、特別支援学校への対応範囲は公表されていません。高校特有の単位や履修、進路、調査書まで扱うなら、対象校種に強い製品も並べて比べることになります。

担任から教育委員会まで使い方が変わる

担任は出欠や成績、養護教諭は健康情報、管理職は承認や学校全体の状況というように、同じシステムでも見る画面は立場によって異なります。教育委員会では、学齢簿や就学援助などの情報と学校側のデータをつなぐ使い方が想定されています。

導入時に見落とされやすいのが、非常勤職員や複数校を兼務する職員です。誰がどの学校の情報を見られるのか、異動や退職の際に権限をいつ切り替えるのかまで決めておくと、稼働後の混乱を抑えやすくなります。

学校ライセンスでも調達は自治体単位になることがある

教育DXサービスマップ上のライセンス単位は学校です。一方、導入実績は自治体単位で示されており、複数校をまとめて調達するケースも考えられます。ライセンス、契約、調達が必ず同じ単位になるわけではありません。

見積もりを比べる前に、少なくとも次の条件はそろえておきたいところです。

  • 対象となる学校数と校種
  • 児童生徒数と教職員数
  • 教育委員会で利用する担当者数
  • 必要な機能と外部連携
  • 独自帳票と移行したい過年度データ

条件がそろっていない見積書では、基本機能だけの金額と、移行や連携まで含む金額を比べてしまいます。価格差の理由が分からなくなるため、最初の依頼内容を統一することが大切です。

日々の校務を支える主な機能

機能名だけを眺めても、学校でどう使うのかは想像しにくいものです。日常の場面に置き換えると、デジタル校務がカバーする範囲が見えてきます。

機能 学校で扱う情報 主な使い方
学籍管理 氏名、所属、進級、転出入 名簿や各種帳票の基礎データとして使う
出欠管理 欠席、遅刻、早退など 日々の記録と学校全体の集計につなげる
成績管理 評価、成績、通知表用データ 入力から帳票作成までの転記を減らす
保健管理 健康情報、保健室利用、アレルギー 児童生徒の変化を必要な教職員で共有する
体力テスト管理 体力テストの記録 結果の保存と集計に使う
ポータル お知らせ、通知、申請 校内情報の入口をまとめる
グループウェア メール、行事予定、掲示板 連絡と予定共有を一か所へ集める
勤怠管理 打刻、出勤、申請、承認 勤務時間を把握し、業務改善へ生かす

 

学籍、出欠、成績を一つの流れで扱う

学籍情報は、名簿、出席簿、通知表、指導要録など多くの業務で使われます。氏名や所属を共通データとして持てれば、同じ内容を何度も入力する作業や、転記による誤りを減らしやすくなります。

出欠管理では、日々の欠席だけでなく、学校全体の状況を見渡せます。成績管理では、入力した情報を通知表などへつなげられ、Excel形式やWord形式への出力にも対応しています。観点別評価の計算や学校独自の評価方法まで再現できるかは、実際の帳票を使ったデモで見ておきたい部分です。

保健情報を日々の見守りにつなげる

保健管理では、健康情報、保健室の利用状況、アレルギーなどを児童生徒ごとに扱います。欠席が増えた時期と保健室利用の変化を同じ画面で見られれば、担任だけでは気付きにくい変化を養護教諭や管理職と共有しやすくなります。

健康に関する情報は、利便性だけでなく閲覧範囲が重要です。誰が見られるのか、修正した履歴は残るのか、出力ファイルをどこへ保存するのか。校内ルールまでセットで決めておきたいところです。

校内連絡と勤怠を同じ入口へ集める

ポータルにはお知らせ、通知、申請があり、グループウェアにはメール、行事予定、掲示板があります。紙の回覧、メール、共有フォルダに連絡が分かれている学校では、確認先をまとめるだけでも日々の小さな負担を減らせます。

勤怠は、専用ICカード、QRコード、ポータル上のボタンで打刻できます。勤務時間を記録すること自体がゴールではありません。時間外勤務が増える時期や業務を見つけ、会議、分担、承認手順を見直すところまでつなげて初めて、働き方改革に役立ちます。

教育委員会の事務と学校のデータをつなぐ

デジタル校務は、学齢簿や就学援助など、教育委員会側のシステムとの連携も案内しています。学校と教育委員会が同じ情報を別々に入力している場合、連携によって転出入や進学に伴う作業を軽くできる可能性があります。

ただし、連携という言葉だけでは実務に合うか分かりません。どの項目が動くのか、更新は自動か手作業か、エラーが出たときに誰が直すのか。日常の運用まで含めて接続方法を見ることが欠かせません。

個人カルテを中心に見る5つの特徴

デジタル校務らしさは、機能の数よりも、児童生徒の情報をどのようにつなぎ、学校の運用へ合わせるかに表れます。主な特徴を5つに分けると、次のようになります。

特徴 学校で役立つ場面
小中9年間の個人カルテ 出欠、成績、保健の変化を児童生徒ごとに追う
ExcelとWordへの出力 既存の校内資料や帳票へデータを生かす
学校独自の帳票への対応 通知表や名簿など現在の様式を使う
誤入力を防ぐ仕組み 成績や学籍を確定する前に入力ミスを抑える
自治体システムとの連携 学校と教育委員会の二重入力を減らす

 

個人カルテは児童生徒の変化をつなげて見るための機能

小中9年間をつなぐ個人カルテ

個人カルテには、学籍、出欠、成績、保健などの情報が児童生徒単位で蓄積されます。たとえば、欠席が続いている時期に保健室の利用も増えていれば、別々の記録を探さなくても変化の重なりに気付きやすくなります。

一方、個人カルテが自動で問題を判断するわけではありません。数値や記録は判断を補う情報であり、日常の観察、本人との対話、家庭との連携を置き換えるものではありません。

使い慣れた帳票を残しながら移行しやすい

Excel形式やWord形式へ出力できるため、システム内のデータを既存の校内資料へ生かしやすいという特徴があります。学校独自の通知表や名簿への対応も案内されており、現在の様式をすべて捨てずに導入できる可能性があります。

ただし、独自帳票が標準設定で再現できるとは限りません。項目、計算、印刷位置まで含めて追加作業になることもあります。また、出力したファイルはシステムのアクセス制御から外れる場合があるため、保存先や削除方法もあらかじめ定めます。

入力を守る仕組みと自治体連携を持つ

公式ページでは、成績処理中の誤入力を防ぎ、登録データを保護する仕組みが示されています。成績や学籍は一つの誤りが複数の帳票へ広がるため、警告、確定、修正、承認の流れが実務に合うかをデモで確かめたいところです。

学齢簿や就学援助など自治体側の情報とつながる点も、学校単体の製品とは異なる特徴です。接続先や連携方式によって費用は変わるため、標準機能と個別対応の境目を見積書に残しておくと、後から認識がずれにくくなります。

導入後に期待できる変化

導入効果は、機能があるだけでは生まれません。だからこそ、現在の仕事をどう変えたいかを先に描いておくと、製品を選ぶ基準がはっきりします。

業務 導入前に起こりやすい状態 導入後に期待できる変化
成績処理 複数ファイルへの入力と転記が重なる 共通データを通知表などへつなげやすい
出欠集計 担任ごとの記録を後からまとめる 学校全体の状況を同じ仕組みで見られる
児童生徒の見守り 情報が担当者や紙資料に分かれる 出欠、成績、保健を個人単位で追える
勤怠 打刻と集計が別々になりやすい ICカードやQRコードなどで記録を集める
校内連絡 紙、メール、共有フォルダを行き来する ポータルとグループウェアへ集約する

 

年度末の成績処理や帳票作成を軽くする

学籍、出欠、成績を同じ仕組みで扱えば、通知表や指導要録へ転記する回数を抑えられます。内田洋行の公式ページには、年度末の指導要録と通知表処理の負荷が緩和したという利用者の声が掲載されています。

具体的な削減時間は公表されていません。導入効果を庁内で説明するなら、成績処理にかかった時間、修正件数、紙の使用量などを導入前から測っておくと、変化を示しやすくなります。

児童生徒の変化を早めに共有しやすくなる

個人カルテに出欠と保健の情報が集まることで、欠席が続く、保健室の利用が増えるといった変化を学校全体で共有しやすくなります。担任だけに情報が集まる状態を避けられれば、声かけや支援を早めに検討できます。

記録する項目が増えるだけでは、現場の負担も増えかねません。何を記録し、どの会議で見るのかを決め、入力した情報が実際の支援へつながる運用にすることが重要です。

勤怠データを働き方の見直しへ生かせる

出退勤の記録がまとまると、残業時間の合計だけでなく、負担が集中する時期や部署も見えやすくなります。行事前に時間外勤務が増えているなら、会議や準備の分担を見直すといった次の行動へつなげられます。

逆に、紙の申請や同じ集計を残したままでは、システムと従来業務が二重になります。校務の効率化で生まれた時間を授業準備や児童生徒との対話へ振り向けるには、やめる仕事を同時に決めることが欠かせません。

データ連携とセキュリティ

校務支援システムは、次の更新や乗り換えまで見据えて選ぶものです。文部科学省が示す次世代校務DXでも、クラウド利用、強固なアクセス制御、データの利活用が柱に置かれています。デジタル校務には、標準仕様や外部の認証基盤とつなぐ仕組みがあります。

APPLICとOneRosterは役割が異なる

APPLICとOneRosterの役割比較

APPLICとは、自治体や学校のシステムが共通の形式でデータを扱えるよう、標準仕様を整える団体です。デジタル校務は、小中学校版の校務基本情報データ連携について、準拠登録と相互接続確認製品マークを取得しています。

OneRosterとは、児童生徒、クラス、所属などを学習サービス間で受け渡すための標準規格です。デジタル校務では、OneRoster v1.2に基づくCSVを出力し、学習eポータルへ連携できます。CSVは表形式のデータを保存するファイル形式であり、常に自動同期されるとは限りません。

標準化の考え方をもう少し知りたい場合は、校務支援システムの標準化について詳しく見ると、製品間でデータを引き継ぐ際の注意点を理解しやすくなります。

項目 公表されている内容 導入前に見たい点
APPLIC 校務データ連携の標準仕様に準拠 移行項目、変換費用、試験移行
OneRoster v1.2 名簿情報をCSVで出力 連携先、更新頻度、担当者
学齢簿 教育委員会で情報を取り込める どちらを正とするか、エラー対応
指導要録 電子承認と電子保存に対応 権限、保存期間、出力方法
認証基盤 SAML 2.0でシングルサインオン 既存IDとの適合、追加費用

 

シングルサインオンと多要素認証は認証基盤と組み合わせる

シングルサインオンとは、一度の認証で複数のシステムへ入れる仕組みです。デジタル校務は、IDaaS基盤とSAML 2.0で連携できるとされています。IDaaSは、利用者のIDと認証をクラウドで管理するサービスです。

多要素認証とは、パスワードに加えて端末や認証アプリなど、異なる種類の情報を組み合わせて本人を確かめる方法です。デジタル校務に顔認証や指紋認証が標準搭載されているという意味ではなく、連携するIdPの機能を利用します。現在の認証基盤や端末に合うか、追加ライセンスまで含めて比べます。

公共クラウドと学校側の備えを一緒に考える

内田洋行は、ウチダ公共クラウドサービスでの運用を案内しています。教育DXサービスマップには、国内データセンター、ISO 27017、サーバーの冗長化、複数変電所からの給電などが掲載されています。

ただし、データセンターが動いていても、学校の回線や端末が使えなければ出欠や勤怠の入力は止まります。通信障害中は何に記録し、復旧後に誰が入力するのか。システム側の対策と校内の代替手順を一つの計画として持つことが大切です。

提供形態を比べる際は、クラウド型とオンプレミス型の違いも参考になります。

連携できるという一言だけで決めない

外部システムと接続できても、手作業が多ければ負担は残ります。導入担当者が見たいのは、接続の有無だけではなく、実際に誰が何をするかです。

  • 標準機能でつながるのか、個別設定や開発が要るのか
  • 連携できるデータ項目と更新する頻度
  • 初期設定費と毎年の保守費
  • エラーが起きたときの連絡先と修正担当
  • 契約終了時に取り出せるデータと形式

将来の乗り換えを考えると、入力できる情報の多さと同じくらい、外へ取り出しやすいことが重要です。契約前には、データの出口まで見ておくと選択肢を残せます。

料金と見積もりの見方

デジタル校務の料金はオープン価格です。具体的な初期費用や年間利用料は公表されておらず、学校数、利用機能、データ移行、帳票設定、外部連携を含めた個別見積もりになります。

現在の料金は問い合わせが必要

検索すると発売当時の古い価格が出てくることがあります。しかし、現在の教育DXサービスマップに掲載されている条件はオープン価格です。過去の金額を、そのまま予算の根拠にはできません。

教育DXサービスマップ上では、無料トライアルはありません。操作感を知りたい場合は、デモや説明会、試行環境を利用できるか提供会社や販売代理店へ相談する流れになります。

見積書は費用の種類を分けて読む

初年度の合計額だけでは、2年目以降の負担が見えません。見積書は、導入時だけ発生する費用、毎年発生する費用、必要なときに追加される費用へ分けて読むと、他製品と比べやすくなります。

費用項目 主な内容 見積書で見たい点
初期設定 環境、学校情報、利用者、権限の設定 基本料金に含まれる範囲
ライセンス 学校単位の利用料 年額か月額か、人数の影響
データ移行 抽出、変換、取り込み、照合 対象年数、項目、修正費
帳票設定 通知表、指導要録、名簿など 新規作成、変更、制度改正時の費用
外部連携 学齢簿、学習eポータル、認証基盤など 接続先ごとの初期費と保守費
研修 導入前、新年度、異動者向け 回数、方法、訪問費
保守 問い合わせ、更新、障害対応 受付時間、対象範囲、追加費

 

5年間の総費用で比べる

校務支援システムは、数年間使い続ける前提で選ぶものです。初期費用が低くても、毎年の利用料、個別開発、研修、外部連携が積み上がれば、総額は大きくなります。反対に、初期費用が高くても標準機能に必要な範囲が含まれ、追加費用が少ない製品もあります。

同じ学校数、利用者数、機能、移行範囲、契約年数で5年間の総費用を出すと、価格差の理由が見えやすくなります。端末やネットワーク、制度改正、契約終了時のデータ出力まで含めておくと、導入後の予算不足を防ぎやすくなります。

見積もり依頼の前にそろえておきたい情報

学校数、児童生徒数、利用者数、必要機能、移行データ、独自帳票、外部連携、希望する稼働時期を同じ条件で各社へ伝えます。

導入までの進め方

導入は現状整理から始める

デジタル校務固有の標準導入期間は公表されていません。学校では年度更新や人事異動があるため、稼働したい時期から逆算し、現状整理、デモ、移行、研修を段階的に進めることになります。

段階 主な作業 見落としたくない点
1 現状整理 業務、帳票、データ、課題を洗い出す 教員、養護教諭、管理職、教育委員会の意見
2 要件作成 必須機能、連携、権限、セキュリティを決める 必要条件と希望条件を分ける
3 デモと見積もり 操作、対応範囲、費用を複数社で比べる 同じ条件、同じ帳票で見る
4 移行と設定 データ、帳票、利用者、権限を設定する 試験移行と印刷結果を照合する
5 研修と本稼働 職種別研修と試行運用を行う 新年度と異動者への継続支援

 

システムより先に、減らしたい仕事を決める

紙、表計算ファイル、既存システムで行っている仕事を、学籍、出欠、成績、保健、勤怠、教育委員会事務などに分けます。そのうえで、二重入力、転記、集計、承認待ちにどれほど時間がかかっているかを洗い出します。

最初から全機能を必須にすると、個別開発が増え、選べる製品も狭くなります。教育上残すべき業務と、慣習で続いている業務を分けることが、費用を抑えながら使いやすい仕組みにする近道です。

デモは実際の帳票と役割で試す

画面説明を聞くだけでは、日常の使いやすさは分かりません。現在の通知表、出席簿、名簿を持ち込み、担任は成績入力、養護教諭は保健情報、管理職は承認というように、役割ごとの流れを試すと違いが見えます。

デモの場では、標準機能、設定変更、追加開発を分けて説明してもらいます。同じ条件を複数社へ伝えると、価格だけでなく、学校の業務をどこまで理解して提案しているかも比べられます。

データ移行、権限、研修を本稼働前に仕上げる

移行では、学籍の件数が合っているだけでなく、氏名の文字、日付、評価、改ページ、印刷結果まで見ます。過年度データをすべて移せない場合は、旧システムを何年間閲覧できるようにするかも決めておかなければなりません。

アカウントは、所属校と職種に加え、非常勤、兼務、休職、異動も想定します。研修は管理者、一般教職員、養護教諭などに分け、本稼働前に一部の業務で試行すると、問い合わせが集中しやすい操作を先に補えます。

導入実績と事例から分かること

導入実績を見ると、自治体規模で運用された経験の有無が分かります。ただし、自治体数、学校数、使っている機能、調査した時点は別々の情報です。数字の大きさだけでなく、自校に近い事例かどうかまで見ることが大切です。

令和4年度時点で全国120自治体以上

教育DXサービスマップには、令和4年度時点で全国120自治体以上への導入実績が掲載されています。自治体名として、福島県郡山市、埼玉県鴻巣市、埼玉県さいたま市、千葉県柏市が挙げられています。

現在の自治体数や学校数、継続率は公表されていません。比較資料へ使うときは令和4年度時点と添え、最新の数字が必要な場合は提供会社へ直接問い合わせます。

年度末業務と児童生徒支援に関する声がある

内田洋行の製品ページでは、指導要録と通知表処理の負荷が緩和したという声や、学校全体の出欠状況から欠席が続く児童生徒へ声をかけやすくなったという声が紹介されています。

いずれも、削減時間や対象校数まで示した第三者調査ではありません。導入効果の保証とは切り分け、どのような変化を目指せるかを考える材料として受け取るのがよいでしょう。

鴻巣市の事例は教育ICT基盤全体で見る

鴻巣市の事例では、個人カルテに加え、文書の電子化、電子決裁、QRコードによる勤怠管理などが紹介されています。校務だけでなく、ネットワークや端末を含む教育ICT基盤全体を整えた事例です。

そのため、事例に出てくる変化のすべてをデジタル校務単体の標準機能とはみなせません。自校と近い学校数やネットワーク環境の事例を選び、移行方法、研修、稼働後の問い合わせまで聞くと、導入後の姿を想像しやすくなります。

ほかの学校や自治体がどのように進めたのかは、校務支援システムの導入事例でも読めます。

サポート体制と導入前の注意点

本稼働後に困りやすいのは、基本機能そのものより、新年度の設定、異動者の権限、独自帳票の修正といった運用部分です。問い合わせ先と校内ルールを先に決めておくと、稼働後の負担が大きく変わります。

専用ヘルプデスクと継続研修を利用できる

内田洋行は、デジタル校務だけでなく、ICTに関する困り事へ対応する専用ヘルプデスクを用意しています。その場で解決できる内容は進め、必要に応じて技術者の派遣やメーカー窓口の仲介を行う体制です。

導入時の研修に加え、異動者向け研修や定期的なフォローアップ研修も示されています。ただし、受付時間、研修回数、現地訪問、繁忙期の対応が基本料金に含まれるかは分かりません。販売代理店経由の場合は、最初の連絡先と内田洋行の役割も見ておきたいところです。

非常勤、兼務、異動を想定したアカウント設計が必要

柏市教育委員会の利用者向けページには、非常勤職員のアカウント、兼務校の登録、出退勤用QRコード、氏名表示、メール送信者の所属校表示など、稼働後に寄せられた具体的な問い合わせが並んでいます。

これらは製品の欠点を示すものではありません。学校では職員の所属や勤務形態が複雑です。だからこそ、標準的な常勤職員だけでなく、兼務や人事異動まで含めて設定を考える必要があります。

帳票、データ移行、通信障害は先送りしない

導入前に特に見落としやすいのは、次の5点です。

  • 独自の通知表や名簿をどこまで標準設定で再現できるか
  • 学籍、成績、指導要録、保健など過年度データを何年分移せるか
  • 制度改正や帳票変更があったときの費用と納期
  • 通信障害中の出欠、保健、勤怠をどのように記録するか
  • 契約終了時にデータをどの形式で取り出せるか

独自帳票をすべて残すと、導入費だけでなく将来の修正費も増えます。法令や教育上必要な帳票と、長年の慣習で残っている帳票を分け、標準化できる部分は合わせたほうが、異動時の引き継ぎも軽くなります。

乗り換え時の確認項目は、校務支援システムを乗り換える際の注意点にもまとめています。

向いている学校と慎重に比べたい学校

デジタル校務は、公立小中学校の校務を自治体単位でそろえたい場合に検討しやすい製品です。一方、対象校種や必要な周辺機能によっては、ほかの製品のほうが合うこともあります。

学校や自治体の状況 相性の見方 理由
公立小中学校を自治体全体で統一したい 候補になりやすい 対象校種と情報連携の考え方が合いやすい
小中9年間の情報を継続して見たい 候補になりやすい 個人カルテで出欠、成績、保健を追える
学齢簿など自治体システムとつなぎたい 候補になりやすい 教育委員会事務との連携が案内されている
導入後の研修や相談窓口を重視したい 候補になりやすい ヘルプデスクと継続研修が案内されている
高校や大学の校務を扱いたい 慎重に比較したい 対応範囲が公表されていない
独自開発を多く残したい 慎重に比較したい 対応範囲と費用が公表されていない
保護者連絡や学習支援まで一つにまとめたい 慎重に比較したい 標準機能か別サービスかを確かめる必要がある
公開価格だけで予算を決めたい 慎重に比較したい 現在はオープン価格で個別見積もりになる

 

個人カルテと自治体連携を重視する場合は候補になりやすい

公立小中学校で、学籍、出欠、成績、保健を同じ仕組みにまとめ、小学校から中学校まで情報を引き継ぎたい場合は、デジタル校務の特徴が課題と合いやすくなります。自治体内で画面や手順をそろえれば、教職員が学校間で異動したときの覚え直しも抑えやすくなります。

学齢簿など教育委員会側の情報とつなぎたい自治体や、導入後の研修、ヘルプデスクを重視する場合も検討対象に入りやすいでしょう。

高校向け機能や周辺サービスを広く求める場合は比較が欠かせない

高校の単位、履修、進路、調査書や、大学の履修登録、シラバス、学費管理への対応状況は公表されていません。また、保護者向けアプリ、欠席連絡、アンケート、学習配信を一つの製品で完結させたい場合も、別サービスとの連携を含めて見る必要があります。

独自帳票や独自手順が非常に多い学校では、カスタマイズ費用だけでなく、制度改正のたびに修正できるかも重要です。導入できるかどうかではなく、長く無理なく運用できるかという視点で比べることが大切です。

他の校務支援システムと比較するポイント

デジタル校務の特徴だけを見ても、自校に最も合うかまでは分かりません。対象校種、標準機能、カスタマイズ、移行、サポート、長期費用を同じ条件で並べると、製品ごとの違いが見えてきます。

比較項目 デジタル校務で分かること 他製品と並べて見る点
対象校種と機能 公立小中学校、学籍、出欠、成績、保健、勤怠など 必要な業務が標準機能に入るか
カスタマイズ 独自の通知表や名簿への対応を案内 標準設定と追加開発の境目、改修費
データ連携 APPLIC、OneRoster、学齢簿など 対象項目、方式、費用、更新頻度
セキュリティ 権限、SSO、認証基盤による多要素認証、クラウド 既存IDとネットワークに合うか
サポート ヘルプデスク、導入研修、新年度研修 受付時間、回数、費用、現地対応
費用 オープン価格 5年間の総費用と契約終了時の条件

 

機能数ではなく、解決したい仕事から比べる

機能が多い製品ほど優れているとは限りません。使わない機能が増えれば、画面や研修が複雑になることもあります。まずは、成績処理を短くしたい、自治体との二重入力を減らしたい、保健情報を共有したいなど、解決したい仕事を優先します。

必須機能と希望機能を分けると、各社の説明に振り回されにくくなります。製品の強みと学校の課題が重なるかを見ることが、機能一覧を比べるよりも重要です。

カスタマイズとデータの持ち出しやすさを分けて見る

独自帳票を作れる柔軟性は魅力ですが、個別開発が増えるほど、費用と将来の変更負担も大きくなります。標準設定でできること、追加設定でできること、開発が必要なことを分け、制度改正時の修正費まで比べます。

さらに、契約終了時にどのデータをどの形式で取り出せるかも重要です。乗り換えやすさは導入時に見落とされがちですが、将来の選択肢を守る条件になります。

同じ条件で2社から3社へ絞り込む

見積もりは、学校数、利用者数、機能、データ移行、研修、契約年数をそろえます。そのうえで、比較表から候補を2社から3社へ絞り、同じ帳票を使ってデモを行うと、操作性と対応範囲を公平に比べられます。

デジタル校務は、小中9年間の個人カルテ、自治体連携、独自帳票、研修とヘルプデスクを重視する場合に候補へ入りやすい製品です。ただし、価格、移行できる範囲、帳票設定の費用、高校や大学への対応は、提供会社への問い合わせが欠かせません。

自校や自治体に合う製品を比較する

機能、料金、カスタマイズ性、サポートを同じ条件で比べると、候補を絞り込みやすくなります。 校務支援システムの比較表を見る

校務支援システム
おすすめ5社徹底比較表

「とにかく日々の業務を減らしたい」「ITに不慣れな教員でも使えるか不安…」そんな悩みを解決する厳選5システムを徹底比較!
自校の課題に最もフィットし、先生の働き方を変える製品がここから見つかります。

基本情報 Major School System スクールマスターZeus e-教務V3 スクールエンジン BLEND
システックITソリューション
株式会社
ウェルダンシステム株式会社 株式会社エフワン 株式会社システムディ モチベーションワークス
株式会社
Major School System公式サイトへ スクールマスターZeus公式サイトへ e-教務V3公式サイトへ スクールエンジン公式サイトへ BLEND公式サイトへ
特徴 完全カスタマイズにて個別対応!3分割納品で操作性を確認できる。導入初年度は無償サポート! 誰でも扱える見やすいデザイン。最小限の手間で最大限の仕上がり。 最小限のクリック数で使える優れた操作性パッケージ型で素早い導入。 自治体や教育委員会を中心とした、各校への広域導入と一括管理を実現。 サブスクリプション型の料金設定!フルクラウドで常に最新型へアップデート。
システムのカスタマイズ
完全カスタマイズ型
パッケージ型
※別途見積りで拡張可能
パッケージ型
パッケージ型
※エンタープライズプランのみ

出席管理
学籍情報管理
保護者連携機能
記載なし



即日対応
専属エンジニアによる継続サポート
即日対応可能
ヘルプデスクで即日確認
ヘルプデスクで即日確認
緊急時のみサポートチームが
即日確認
記載なし
納品までの
システム拡張
無料対応
※別途見積り
カスタマイズ不可
カスタマイズ不可
記載なし
導入までの
運用研修
3回
3分割の納品で
現地にて直接報告、運用の指導
※無償
リモートや訪問で説明会を実施
※無償
2回
一般職員向け説明会
管理者向け説明会
※無償
各種研修あり
※別途7万〜10万
記載なし
料金 5年間の
推定総額※
600万円
360万円+60万円×4年
記載なし
記載なし
444万
サーバー・通信設備
・サポート費用

48万4千円
+79万2千円×5年
1,188万円
3,960円×600名×5年
年間保守費用
60万円
※導入後1年間は
保守費0円無償で仕様変更可
記載なし
記載なし
79万2千円
3,960円/生徒1人
初期費用
高校・一貫校:
360~1093万円
※5年で分割払いも可能
※直近3年間における初期費用
※サブスク提供も可能
記載なし
記載なし
小中高:48万4千円
無し
導入校の例 筑波大学附属駒場中高等学校
早稲田中学校・高等学校
東京大学教育学部附属中等教育学校
明誠学院高等学校
関西大倉中学校・高等学校
その他多数
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